これ以上政府を小さくすれば・・・・・

okagou2005-06-15

 三浦淳先生のHPで中野雅至氏の「はめられた公務員」(光文社)を知り、早速読んだ。いやー前から知っていたとはいえ、やはり日本はアメリカ以上の「新自由主義国家」なんですよね。中野氏によると人口千人あたりの公務員(政府企業も含む)の数はあのアメリカでさえ80.6人、イギリスでも70.3人なのに対し、日本はたったの35.1人だそうだ。もちろん日本の場合は軍人の数が圧倒的に少ないというのもあるけどそれでもイギリスの半分以下というのはどう見ても少ない。しかもそのなかで行政職員の占める割合は2割もないのである。だいたいは教師か警察官なのである。ましてや公務員の人件費なんてたかが知れていて、これが財政赤字の原因などになりえないし、減らしたところで財政赤字の削減になんら寄与しない。今の財政赤字は政治家による無意味な公共工事の乱発が原因だ。
 またこれは中野氏も言っていたことだが、マスコミはもちろんこんなデータは発表しない(ていうか勉強しないでサツ回りするしか能のない彼らがこのデータに気づいているとは思えない)。そんなことをすれば彼らは記事のネタに事欠くからだ。彼らマスコミはスポンサーである大企業は不祥事でも明るみにならない限り決してたたかない。その代わりに強そうに見える役所をたたいて自分たちが正義の味方であることをアピールする。たとえば年金問題だってそうだ。マスコミは社会保険庁を叩くことはあっても、多くの社会保険、厚生年金に入りたくても入れない若年フリーター、ニートをたくさん生み出す雇用構造を作り出した大企業を叩くことは絶対にない。若年層が年金を払えない状況を作り出したのは大企業ではないか。ゆえにこの国でもっとも卑怯な存在はマスコミであるといえるだろう。彼らの手法はナチの反ユダヤ主義プロパガンダ文革プロパガンダと変わるところがあるのだろうか。彼らは呪文のように「こんな財政赤字の状況なんだから公務員を減らせ」「官から民へ」と連呼する。こういったやり方は社会矛盾を突いているようで、実際は社会矛盾から国民の目をそらしているのだ。
 これ以上公務員を減らすというのは上記のことからもわかるように行政職員だけでなく、警察官、教員を減らすことになりかねない。そんなことになれば治安悪化、教育の質の低下は今以上に深刻になりかねない。ストーカーに狙われても警官は来てくれないなんてザラ、50人学級なんて当たり前なんてことも現実になるかもしれない。
 私のBlogを訪れてくださる大学院生の方々にとってもこれ以上政府を「小さく」することは彼らの活躍の場である教職、研究職のポストのさらなる縮小を意味する。それなのになぜ彼らはこのことに無関心なのか。行政職員だけの問題だと思って無関心でいるのか、それともどんな時代でも実力のある人間は生き残るのでありそんなことに心を砕くのは無意味と考えているのか、まったくもって謎である。